投資用マンション売却について解説!売り時や高く売るポイントなどを説明

投資用マンション売却
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投資用マンションは、長期的な資産形成の手段として多くの投資家たちに選ばれています。

しかしながら、投資の成功には適切な「出口戦略」が必要不可欠です。

この記事では、投資用マンションの売却について以下の内容を説明しています。

本記事でわかること
  • 投資用マンション売却のタイミング
  • 投資用マンションの売却準備
  • 投資用マンションを高く売るには?
  • 売却時の税金と諸費用
  • 売却後の確認事項

投資用マンションの売却では普通の不動産売却以上に、さまざまな要素を考慮する必要があります。

収益性の変化や市場環境の影響、税制に加えて、将来の資産運用計画まで、総合的な判断が求められるでしょう。

不動産投資において「購入」と「運用」に関する情報はたくさんみつかりますが、「売却」に関する具体的な情報は比較的少ないことが現状です。

しかしながら、売却の成否が不動産投資全体の成果を大きく左右することを考えると、売却戦略は非常に重要な要素だと言えるでしょう。

ぜひ、本記事を読んでいただいて、投資用マンション売却のノウハウを確認してみてください。

投資用マンションを売却するタイミング

投資用マンションを高く売るためには、売却を検討すべき状況や売り時、売却時期を判断する必要があります。

ここでは投資用マンションや投資家を取り巻く状況の変化について、ベストな売り時の見極め方、売却時期の判断指標について解説します。

投資用マンションの売却を検討すべき状況とは?

投資用マンションの売却タイミングは、さまざまな状況によって判断する必要があります。

以下の表は、おもな検討すべき状況とその具体的な判断基準をまとめたものです。

検討すべき状況 具体的な判断基準
収益性の低下 ・賃料収入の減少傾向が続く
・空室率の上昇
・管理費・修繕費の増加
市場環境の変化 ・地域人口の変化
・新規開発などの影響
・競合物件の増加
資金需要 ・他の投資機会の出現
・事業資金の必要性
・ライフプランの変更
相続対策 ・相続税対策としての現金化
・資産の分割の必要性
・相続人の意向

収益性の低下では、実質賃料収入の推移を詳細に検討します。

たとえば、月額賃料が当初の15万円から徐々に低下し、現在は13万円まで下がっているような場合、今後も賃料の低下が続くのかどうかを考える必要があるでしょう。

特に重要なのは賃料の低下が一時的なものなのか、そうでないのかを見極めましょう。

周辺の賃料相場や競合物件の状況や地域の経済動向などを総合的に分析することで、より正確な判断が可能です。

ベストな売り時を見極めよう

ベストな投資用マンションの売り時を判断するためには、経済環境、市場の環境と物件固有の要因の3点を併せて判断する必要があるでしょう。

まず、経済環境については以下の内容を確認しましょう。

✓ 金利動向
✓ 経済情勢
✓ 景気動向や雇用情勢

金利が上昇すると投資用マンションの期待利回りも上昇傾向になるため、売却価格に影響を与える可能性があります。

また、景気動向や雇用情勢についても賃貸需要に直結するため、これらの動きにも注目しましょう。

不動産市況の分析においては、以下の内容を確認します。

不動産市況の分析内容
  • 取引価格の推移
  • 取引件数
  • 金利情勢の変化
  • 不動産投資市場の全体的なトレンド

取引データの動向は市場の実態を確認するうえで重要な指標です。

国土交通省の不動産情報ライブラリや不動産経済研究所の市況調査など、信頼できる統計データを活用することで、より正確な市場分析ができるようになるでしょう。

また、物件固有の要因として、以下の内容を確認しましょう。

物件固有の要因
  • 築年数
  • 建物の経年劣化の状況
  • 修繕計画と実施状況
  • 住宅設備を更新するかどうか
  • 協業物件との比較

さらに、地域の将来性を確認します。

再開発計画の有無、交通インフラの整備計画、人口動態の予測、商業施設などの出店計画なども考慮に入れる必要があるでしょう。

収益性指標の見方

投資用マンションの収益性を計算する際、最も重要な指標の一つが投資利回りです。

純利回りは、物件の実質的な収益力を示す指標として広く用いられています。

たとえば、年間賃料収入が200万円、運営経費が60万円、物件価値が2500万円の場合、純利回りは5.6%となります。

【200万円(収益)-60万円(運営経費)】÷2,500万円(物件価値)×100=5.6%

この数値を市場の平均的な利回りと比較することで、売却タイミングの判断材料にできます。

経費率の分析も重要です。

年間経費総額を年間賃料収入で割ることで算出される経費率は、物件の収益効率を示す重要な指標です。

一般的に、管理費は賃料収入の5〜8%、修繕費は10〜15%、その他経費は5〜8%程度が適正範囲とされています。

これらの数値が大きく上回る場合は、売却を検討するタイミングかもしれません。

投資用マンションの売却時期を判断するためには

投資用マンションの売却時期を判断する際に判断する材料として以下のポイントを確認します。

投資用マンションの売却時期を判断するポイント
  • 収益性の分析
  • 修繕費用の増加
  • 純収益の変化
  • 代替投資の検討

収益性の分析

まず、検討するべき内容は収益性に関する指標の分析です。

賃料推移を分析し直近3年程度の実質賃料の変化を詳細に確認する必要があります。

たとえば、当初月額15万円だった賃料が、徐々に低下して現在13万円となっているような場合、年率換算で約4%の下落です。
このような下落傾向が続く場合、将来的な収益性の低下が懸念されます。

空室率

収益性を判断する際には空室率についても確認しましょう。

一般的に年間平均の空室率が5%を超え始めると注意が必要で、特に、空室期間が徐々に長期化している場合、物件の市場競争力が低下している可能性があります。

たとえば以前は退去後1か月で新規入居者が決まっていたのが、最近は2〜3か月かかるようになった場合、売却を検討するひとつのタイミングとなるでしょう。

修繕費用の増加

修繕費用の増加傾向も見逃してはなりません。

一般的に修繕費は築年数に比例して増加するものです。

たとえば年間の修繕費が賃料収入の5%程度だったものが、10%を超えるようになった場合、収益性への影響が無視できなくなるでしょう。

また、給排水設備や空調設備などの重要設備の更新時期が近づいている場合は、将来的な修繕費の急増も考慮に入れる必要があります。

純収益の変化

純収益の変化は、物件の収益力を示す指標です。

収益性、空室率、修繕費用やその他の経費を計算して求める純収益が継続的に減少傾向にある場合、売却を検討する判断材料となります。

具体的には、純収益が前年比で5%以上減少している場合や、直近3年間で10%以上の減少が見られる場合は、売却を視野に入れた検討が必要でしょう。

代替投資の検討

代替投資の検討も売却判断の際には重要です。

たとえば、現在の利回りが4%程度の物件について、同程度のリスクで5%以上の利回りが期待できる投資機会が見つかった場合、資金の組み換えを検討する価値があります。

ただし、売却に伴う諸費用や税負担も考慮に入れ、総合的な判断をしましょう。

投資用マンション売却ではどんな準備が必要?

投資用マンションの売却を成功させるためには、入念な準備が必要です。

特に重要となるのが以下の3点です。

✓ 市場調査
✓ 物件価値の向上
✓ 書類の準備

しっかりとこれらの準備に取り組むことで、スムーズに投資用マンションの売却に臨め、適正価格で売却できるようになるでしょう。

売却前の市場調査

市場調査では、まず同類物件の売却事例を詳細に分析します。

具体的には対象エリアにおける過去1年以内の取引事例を収集し、価格帯や取引条件を確認しましょう。

その際、以下の表にある項目について確認します。

分析項目 確認ポイント 情報源
取引価格 坪単価、総額、利回り 不動産会社ヒアリング
建物条件 築年数、規模、設備 物件資料、現地調査
立地条件 最寄駅までの距離、周辺環境、利便性 地図情報、現地調査
取引期間 募集開始から成約までの期間 不動産会社ヒアリング

次に地域の取引動向を確認し、エリア全体の市況を把握しましょう。

新規開発計画や交通インフラの整備状況、主要企業の進出・撤退といった情報も、将来的な価値変動を予測する上で重要な要素となります。

また、想定される需要層の特定も重要です。

投資用マンションの場合、個人投資家か法人投資家か、もしくは実需での購入を考える法人かによって、重視するポイントが大きく異なります。

これらの需要層の特性を理解し、適切なターゲットを設定することで、より効果的に販売戦略を組み立てられるでしょう。

物件価値を高めるためには

物件価値の向上には、ハード面とソフト面の両方からのアプローチが必要です。

ハード面で物件価値を向上させるためには、リフォームやリノベーションに取り組むことです。

リフォームやリノベーションを検討する際は、投資対効果を慎重に見極めましょう。

たとえば、全面的なリフォームには100万円以上の費用が必要となる場合も多く、その効果が売却価格に十分に反映されるかどうかを判断することが重要です。

また、修繕履歴を整備することにも取り組みましょう。

過去の修繕・補修の記録を時系列で整理し、定期点検の実施状況や設備の更新履歴なども含めて、分かりやすくまとめることで、物件の維持管理状態を証明する重要な資料となります。

ソフト面で物件価値を向上させるためには、賃貸契約の整理や管理体制の見直しが挙げられます。

賃貸契約の整理では、現在の入居者との契約内容を見直し、必要に応じて条件を調整しましょう。

特に、長期入居者との賃料が市場相場と大きくかけ離れている場合は、段階的な改定を検討する必要があります。

また、解約予告期間や原状回復条件なども、標準的な内容にそろえておくことが望ましいでしょう。

管理体制の見直しでは、管理会社のサービス内容や対応状況を評価し、必要に応じて改善を求めることをおすすめします。

管理契約や長期修繕計画の内容も確認して適切な更新をすることが、より安定した管理体制につながります。

必要書類の準備

売却手続きをスムーズに進めるためには、必要書類をしっかりと準備しましょう。

主な必要書類は以下の通りです。

書類区分 主な書類 取得方法 有効期限
権利関係 登記簿謄本・公図 法務局・インターネットで取得 3か月以内
課税関係 固定資産税の評価証明書 市区町村、税事務所で取得 最新のもの
管理関係 管理契約書、修繕履歴 管理会社から入手
賃貸関係 賃貸借契約書、収支資料、レントロール 自身で保管

これらの書類は、売却時の重要事項説明や、買主が購入判断する際に必要になります。

特に、権利関係書類については発行後の有効期限があるため、取得のタイミングにも注意が必要です。

また、すべての書類について写しを保管し、電子データとしても保存しておくことをおすすめします。

投資用マンションを高く売るためには?

投資用マンションを高く売るためには、適切な方法で以下のポイントを整理しなければなりません。

投資用マンションを高く売るポイント
  • 販売価格
  • 販売方法
  • 物件アピール

これだけでは何をしたら良いのか分かりづらいものですが、ひとつひとつ積み重ねることで売却を成功に導けます。

具体的に何をするべきか解説します。

適正な販売価格を設定しよう!

投資用マンションの適正価格を算出する際、複数の評価手法を組み合わせて総合的に判断することが一般的です。

主な評価手法とその特徴は以下のとおりです。

主な評価手法と特徴
評価の方法 算出方法 特徴 重視される場面
収益還元法 純利益÷利回り 収益性重視の評価 投資目的の売買
取引事例比較 類似物件との比較 市場の価格を反映 一般的な売買
原価法 再調達価格-減価修正 物的価値を重視 築浅物件の評価

具体的に査定額を比較検討する際は、最低でも3社以上の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。

各社の査定額の違いを分析することで、より正確な市場価値の把握が可能となるでしょう。

また、査定額の幅が大きい場合は、その理由を詳しく確認することで、価格設定の参考となる重要な情報が得られることもあります。

どれが良い?販売方法の選択

販売方法の選択は、物件特性や市場環境に応じて慎重に判断する必要があります。

まず、一般媒介と専任・専属専任媒介の特徴を以下の表で比較します。

一般媒介と専任・専属専任媒介の特徴
項目 一般媒介契約 専任・専属専任媒介契約
販売活動の範囲 複数社による幅広い活動 一社による集中的な活動
情報管理 やや難しい 容易
価格コントロール 難しい 比較的容易
比較的容易 早期売却希望時 価格重視の場合

物件や売主の希望により締結する媒介契約は変わってきます。

不動産会社のおすすめされたので、という理由ではなくしっかりと比較して検討しましょう。

仲介業者の選定基準としては、以下の要素を総合的に評価します。

仲介業者の選定基準
評価項目 確認ポイント 重要度
取扱実績 投資用物件の売却実績数 非常に高い
顧客網 投資家とのネットワーク 高い
提案力 販売戦略の具体性 高い
手数料 料率の柔軟性 中程度

仲介業者の具体的な探し方には以下のアプローチがあります。

・専門サイトや業界紙での情報収集
・セミナーや勉強会への参加
・所有物件エリアでの実績調査

不動産ポータルサイトや不動産投資の業界紙などで実績豊富な業者を探せます。

特に「投資用区分マンション」「収益物件」などのキーワードで専門性の高い業者を見つけられますよ。

そして、不動産投資のセミナーや勉強会に参加することで、投資用不動産に精通した仲介業者と出会う機会が得られます。

こうした場では、業者の知識や対応力を直接確認できるでしょう。

最後に対象物件のあるエリアで実際に「売り出し中」の投資用物件を調査し、頻繁に取り扱いのある仲介業者をリストアップします。

地域密着型の業者は、そのエリアの市場動向に詳しいケースが多いです。

こうして仲介業者を探した後は、選定基準を確認するために質問しましょう。

質問例としていくつかピックアップするので参考にしてみてください。

選定基準を確認するための質問例

取扱実績 「過去1年間に何件の投資用マンションを売却しましたか?」
「対象エリアでの成約事例はありますか?」
顧客網 「どのような投資家とのネットワークがありますか?」
「法人投資家とのつながりはありますか?」
提案力 「どのような販売戦略で物件を売り出しますか?」
「利用するポータルサイトや独自の販売チャネルはありますか?」
その他 「この物件のアピールポイントは何だと思いますか?」
「想定される買い手はどのような層ですか?」
「売却活動の進捗はどのように報告してもらえますか?」
「問い合わせにはどれくらいの時間で返答いただけますか?」

実際の選定では、最低でも3社以上の仲介業者に査定を依頼し、上記の観点から総合的に評価することをおすすめします。

また、媒介契約を結ぶ前に、担当者との相性や信頼関係も重要な判断材料となります。

場合によっては、過去の取引先や物件管理会社からの紹介も検討する価値があるでしょう。

物件アピールのポイント

投資用マンションのアピールでは、収益性と将来性の両面から訴求することが重要です。

主なアピールポイントと効果的な提示方法は以下のとおりです。

アピール項目 具体的なアピール内容 効果的な提示方法
収益性 ・実質利回り
・キャッシュフロー
・終始実績データのグラフ化
・レントロール
立地特性 ・交通利便性
・商業施設充実度
・地図や写真による視覚化
管理状態 ・修繕履歴
・管理体制の充実度
・管理レポートの作成
将来性 ・開発計画
・人口動態
・統計データの活用
収益性のアピール

収益性のアピールでは、具体的な数値を用いた説明が効果的です。

たとえば、「実質利回り5.5%」「稼働率98%」といった具体的な数値を示しつつ、同エリアの平均的な数値との比較することで、物件の優位性を具体化できます。

立地・利便性のアピール

立地・利便性のアピールでは単なる最寄り駅からの距離だけでなく、生活利便施設へのアクセスや地域の特性なども含めて説明します。

特に投資用物件の場合、賃貸需要の安定性につながる要素として、通勤・通学の利便性や商業施設の充実度などを重点的にアピールすることが重要です。

管理状態のアピール

管理状態のアピールでは、修繕履歴や管理体制の充実度を具体的に示すことが重要です。

たとえば、「築10年で大規模修繕工事完了済み」「24時間対応の管理体制」といった具体的な特徴を資料とともに提示することで、安定的な運営が期待できる物件であることをアピールできます。

将来性のアピール

将来性の提示では、エリアの発展性や将来的な価値上昇の可能性を具体的なデータや計画に基づいて説明しましょう。

再開発計画や交通インフラの整備計画、人口動態の予測などを、客観的な資料とともに提示することで、投資価値の持続性や将来的な価値上昇の可能性を効果的にアピールできます。

売却時の税金と諸費用

投資用マンション売却において、最も重要な検討事項のひとつが税金の問題です。

そして、売却によって必要になる諸費用についても見落とせません。

ここでは売却時の税金と諸費用について解説します。

売却時にかかる税金

投資用マンションの売却において譲渡所得税は、売却益に対して大きな影響を与える要素となります。

譲渡所得税の計算方法を理解し、適切な税務計画を立てることが、実質的な収益を最大化する上で極めて重要です。

譲渡所得税は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた譲渡所得に対して課税されます。
基本的な計算式は以下の通りです。

譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
納税額=譲渡所得✕税率

ここでポイントになるのが取得費と譲渡費用の範囲を正確に把握することです。

取得費には、物件の購入価格だけでなく、購入時の諸費用も含められます。

具体的には以下の表にある費用が取得費に含まれます。

取得費
費用区分 具体的な項目 算入の可否 注意点
購入時基本費用 物件価格・消費税 領収書の保管必須
購入時諸費用 仲介手数料・登記費用 金額の証明が必要
取得に係る税金 不動産取得税・登録免許税 納税証明書が必要
引渡関連費用 修繕費、リフォーム費用 資本的支出のみ算出可

また、譲渡費用についても、売却に直接要した費用を幅広く計上できます

譲渡費用
譲渡費用の種類 具体例 控除の可否
仲介手数料 売却時の不動産仲介手数料
売却準備費用 測量費用、評価料
その他の費用 建物取壊し費用

短期売却と長期売却の税率の違い

所有期間によって適用される税率が大きく異なることも知っておく必要があります。

具体的な税率は以下のとおりです。

所有期間 所得税 住民税 合計税率
5年以下(短期) 30.63% 9% 39.63%
5年以上(長期) 15.315% 5% 20.315%

※所得税には復興特別所得税2.1%が含まれます。

この税率の違いは、売却時期の判断に大きな影響を与えます。

たとえば、投資用マンションを4年目で売却を検討する場合、売却益が1,000万円とすると、税額は以下のように大きく異なるのです。

・4年目で売却:1,000万円✕39.63%=396.3万円の税負担
・5年超で売却:1,000万円✕20.315%=203.15万円の税負担

この差額は約193万円となり、売却時期の判断に大きな影響を与える要素となるでしょう。

特別控除の適用条件

投資用マンションの売却においては、一般的な特別控除の適用が制限されることに注意が必要です。

居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万円控除)や買換え特例などは、原則として適用されません。

ただし、以下のような場合には特例の適用が可能となる場合があります。

収用等の場合の特別控除

都市計画事業などによる収用や、災害による移転の場合には、最大5,000万円の特別控除が適用される可能性があります。

マイホーム転用の場合

賃貸用として使用していた物件を自己居住用に転用し、一定期間居住した後に売却する場合、居住用財産の特例が適用される可能性があります。

確定申告の実務と注意点

確定申告の準備では、以下の点に特に注意が必要です。

申告時期と準備

売却した年の翌年の確定申告期間である2月16日から3月15日に申告します。

ただし、準備は売却時から計画的に進めましょう。

必要書類の準備スケジュールは以下の通りです。

準備期間 必要書類 取得方法 注意点
売却前 取得時の関連書類 自身で保管 紛失時の再発行に時間がかかる
売却時 ・売買契約書
・仲介手数料明細書
取引時に入手 原本の保管が必要
売却後 ・登記関連書類
・精算書
司法書士などから入手 控えも保管しておく
申告前 確定申告書類一式 税理士と相談 期限管理が重要

必要書類の整理

特に重要なのが、取得費や譲渡費用を証明する書類の整理です。

売買契約書、登記関係書類、各種領収書などを適切に保管し、必要に応じて電子データとしても保存しておくことをおすすめします。

専門家への相談

投資用マンションの売却に関する税務は複雑であり、特に多額の譲渡所得が発生する場合は、税理士への相談を強くおすすめします。

税理士に依頼する場合は、売却の半年程度前から相談を始めることで、より効果的な税務計画を立てることが可能でしょう。

売却後の確認事項とは?

投資用マンションは売却して終了するのではなく、契約後、売却後にしなければならないこともたくさんあります。

ここでは契約完了後の手続き、次の投資計画について解説します。

契約完了後の手続き

投資用マンションの契約が完了した後も、以下のいくつかの重要な手続きが残っています。

契約完了後の手続き
  • 確定申告
  • 固定資産税の生産
  • 管理組合への届け出
  • 賃貸借契約の処理

確定申告については前項の「確定申告の実務と注意点」にて解説しているので割愛します。

固定資産税の精算

固定資産税は1月1日時点の所有者に課税されるため、年度の途中で売却した場合は、買主との間で日割り計算による精算が必要です。

たとえば、年間の固定資産税が60万円で、9月30日に引き渡した場合、10月1日から12月31日までの3ヶ月分(15万円)を買主から受け取ることになります。

この精算は一般的に決済時に行われますが、計算方法や精算額については事前に確認しておきましょう。

管理組合への届出

マンションの管理規約には、区分所有者の変更があった場合の届出義務が定められていることが一般的です。

この届出を怠ると、管理費や修繕積立金の請求先が混乱したり、管理組合からの重要な連絡が届かなくなったりする可能性があります。

賃貸借契約の処理

入居者への通知や敷金・保証金の精算、家賃の日割り計算など、賃貸借契約に関連する様々な手続きを適切に行う必要があります。

特に重要なのが賃貸借契約の地位譲渡に関する手続きです。

買主に賃貸借契約の地位を譲渡することで、既存の入居者との契約関係が継続することになります。

投資マンションの売却が完了したら次の投資計画をしよう!

売却資金の運用方法は、次の投資機会に備えた計画的なアプローチが必要です。

一時的な資金運用としては、安全性と流動性のバランスを考慮した金融商品の選択が重要となるでしょう。

たとえば、次の投資までの期間が半年程度であれば、定期預金や短期の国債などが適切な選択肢として考えられます。

次の投資先として投資用マンションを検討する際は、過去の投資経験を生かしながら、市場環境や自身の投資目標に合わせた選択をしましょう。

特に重要なのは、立地条件や物件特性、収益性、将来性などを総合的に評価することです。また、不動産市況のサイクルを意識した投資判断も重要です。

ポートフォリオの見直しも、資産運用の最適化に向けた重要なステップでしょう。

売却によって得られた資金を、どのような資産配分で運用するかを検討します。

不動産投資だけでなく、株式や債券などの金融資産との組み合わせによるリスク分散も考慮しましょう。

税務対策としては、売却益に対する課税の最適化や、次の投資に向けた税制優遇措置の活用などが考えられます。

たとえば、収用等の場合の特別控除や買換え特例の適用条件を検討することで、税負担を軽減できる可能性があります。

また、次の投資に向けた資金調達方法や投資形態についても、税務面での影響を考慮した判断をしましょう。

投資用マンション売却のまとめ

投資用マンション売却ではタイミングの見極めが重要で、収益性の低下、市場環境の変化、資金需要の発生、相続対策などの状況を考慮する必要があります。

また、投資利回りや経費率の分析、修繕費の増加傾向、空室率の変化なども売却判断の材料となるでしょう。

売却準備においては、同類物件の売却事例収集や地域の取引動向分析などの市場調査が不可欠です。

また、リノベーションの検討や修繕履歴の整備、賃料の見直しなどを含めた賃貸契約の整理、管理体制の見直しなどで物件価値を高めることも重要です。

高値売却のためには、収益還元法や取引事例比較法などを用いた適正価格の設定をし、一般媒介と専任媒介の特性を踏まえた販売方法の選択をします。

そして、収益性や立地・利便性などで物件をアピールしましょう。売却時には譲渡所得税の計算や諸費用の把握も重要で、所有期間によって税率が大きく異なります。

売却後は確定申告や固定資産税の精算、管理組合への届出などの手続きが必要です。

投資用マンションの売却や売却に伴う手続きが完了したのならば、売却資金の運用方法や次の投資計画、ポートフォリオの見直しも検討しましょう。

マンション販売、用地仕入れ、大手ハウスメーカー営業、不動産仲介と都合20年、延べ600件以上の不動産売買・建築請負に携わる。現在は東京の多摩地区で任意売却相談員・不動産ADR調停人・不動産コンサルタントとして、住宅ローン問題、投資不動産トラブル、建築トラブル、不動産相続など各種トラブルの相談・問題解決に取り組む。