「大切な土地を少しでも高く売りたい」「売却の流れがわからず不安」「思ったより安い査定額で困っている」不動産売却に関して、このような悩みをお持ちではありませんか?
土地は一般的な商品と異なり、一生に何度も売買するものではありません。
そのため、多くの方が土地売却の経験がなく、適切な売却方法や相場観がわからないまま、本来得られるはずだった利益を逃してしまうケースが少なくありません。
本記事では、土地売却のプロフェッショナルとして20年以上の経験を持つ不動産コンサルタントの知見をもとに、土地を高く売るための具体的な方法をお伝えします。
土地売却の基本から応用テクニックまで、具体的には以下の内容の解説です。
- 現在の不動産市場の動向と土地を高く売るためのポイント
- 土地売却の基本知識
- 高値売却のための準備とコツ
- 売却の具体的な流れとステップ
- 発生する費用や税金の詳細知識
- 売却時の注意点
この記事を最後まで読むことで土地売却のプロセス全体を理解し、自信を持って最適な売却戦略を立てられるようになるでしょう。
あなたの大切な資産を、その価値に見合った適正価格で売却するための道しるべとして、ぜひ本記事をご活用ください。
現在の不動産市場の動向と土地を高く売るためのポイント
現在の不動産市場の動向
2025年の日本の不動産市場は地域によって大きな格差が生じています。
都市部では再開発計画や交通インフラの整備により土地需要が高まり、価格上昇傾向が続いている一方、地方では人口減少の影響で需要が低迷し、売却が難しいエリアも増えています。
また、低金利政策の長期化や相続税対策としての不動産投資需要、外国人投資家の日本不動産への関心の高まりなど、土地市場に影響を与える要素は複雑化しています。
このような状況下では単に「売り出す」だけでは高値売却が難しく、市場を理解したアプローチが求められるのです。
専門知識がなくても土地を高く売るためのポイント
土地売却は専門的な知識や経験が必要と思われがちですが、基本的なポイントを押さえれば、不動産の専門家ではない方でも最大限の売却価格を実現することは可能です。
具体的には、以下の3つが土地を高く売るための重要な要素です。
複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な価格帯を見極める
2.土地の価値を最大化する準備
境界確定や更地化など、買い手にとって魅力的な状態に整備する
3.効果的な販売戦略の実行
信頼できる不動産会社と連携し、適切なタイミングと方法で売り出す
これらのポイントを理解し実践することで「相場より安く売ってしまった」という後悔を避け、満足のいく条件での売却が可能になります。
土地売却の基本知識
土地を高く売るためには売却の流れの全体像と、土地の価値を決める要素、売却タイミング、売却方法について正しく理解することが重要です。
この基礎知識がなければ適切な判断ができず、本来得られるはずだった利益を逃してしまう可能性があります。
土地売却の流れ
土地売却は一般的に以下の流れで進行します。
- 売却準備:必要書類の収集、土地の状態確認
- 不動産会社選び:複数社への査定依頼と比較検討
- 媒介契約締結:不動産会社との契約(一般・専任・専属専任)
- 販売活動:広告掲載、内覧対応
- 買主との交渉:価格や条件の調整
- 売買契約締結:契約書の作成と重要事項説明
- 決済・引き渡し:代金受け取りと所有権移転
この一連の流れは順調に進んだ場合でも3〜6か月程度かかるのが一般的です。
ただし、物件の条件や市場状況によっては、1年以上を要することもあります。
計画的に進めることが、高値売却の第一歩となります。
土地の価値を決める要素
土地の価値は、以下のような要素によって大きく左右されます。
●土地の特性
●法的制限と権利関係
土地の立地条件
土地の価値を決める最も重要な要素が立地です。
具体的には以下の点が評価されます。
●商業施設や学校、病院などの生活インフラへのアクセス
●日当たりや眺望の良さ
●周辺環境、土地の安全性
土地の特性
土地の特性も重要な要素ですが、ここで言う特性とは「物理的」な特性です。
具体的には以下の内容を指し示します。
●敷地形状
●高低差
●道路の向き
面積は売却価格を左右する重要な要素です。住宅用地では40〜50坪(約132〜165㎡)程度が理想的とされ、小さすぎると建築の自由度が限られ、大きすぎると購入層が狭まります。
都市部の場合は、適切な大きさに土地を分けることで総額を高められる可能性もあるでしょう。
形状は長方形や正方形などの整形地が高評価を得ます。建物設計がしやすく土地の有効活用が図れるためです。
旗竿地や不整形地、特に間口が狭い土地は使い勝手が悪く評価が下がりがちです。形状に難がある場合は、建築プランを提示するなどの工夫が有効です。
高低差は建築コストに直結します。平坦地は基礎工事が単純で評価が高く、傾斜地では擁壁工事などの追加費用が発生するため評価が下がります。
ただし、高台で眺望が良いなど、高低差がプラスになるケースもあります。
道路の向きも土地の価値に影響します。南道路の土地は日当たりが良く最も人気があり高評価を得られやすいでしょう。
東道路は朝日が入り次に人気がある一方、西道路は夏場の西日対策が必要となります。
北道路は日照時間が短く評価が下がりがちですが、間取りが入りやすいことや閑静な住宅街ではマイナスにならないケースもあるでしょう。
また、前面道路の幅員や交通量も価格に影響するため、売却時は土地の向きの利点を適切にアピールすることが大切です。
法的制限と権利関係
法的制限と権利関係には以下の例があります。
●建ぺい率・容積率
●接道状況
●権利関係
用途地域は土地利用の範囲を定める区分です。
第一種低層住居専用地域は静かな住環境が保たれる一方、商業施設の制限が厳しく、商業地域では多様な建築が可能ですが騒音などの問題もあります。
用途地域が買主の計画に合致するかが重要です。
建ぺい率・容積率は建物の大きさを規定するものです。建ぺい率は建築面積の上限、容積率は総床面積の上限を示します。
たとえば、建ぺい率60%、容積率200%の100㎡の土地では、1階部分は最大60㎡まで、延床面積は200㎡までとなります。
これらの数値が大きいほど土地活用の幅が広がります。
接道状況は建築の必須条件です。
原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していることが必要で、不十分な場合はセットバック(敷地後退)が求められ有効面積が減少します。
私道接道の場合は通行掘削権の確認も重要です。角地や駐車しやすい道路など、接道状況は土地価値を高めます。
一方で交通量の多い街道沿いや、前面道路が抜け道として使われて交通量の多い道路に面する土地などは評価が下がりやすい傾向にあります。
権利関係の清潔さも重要です。抵当権などが設定されていると売却時に抹消手続きが必要になり、借地権や地役権などの複雑な権利関係は買主のリスク要因となります。
登記簿を確認し、権利関係をクリアにしておくことがスムーズな売却につながります。
これらの要素を総合的に評価することで、土地の市場価値が決まります。土地を高く売るためにも、所有している土地の特性を客観的に判断しましょう。
売却タイミングの見極め方
土地を高く売るためには、市場状況を見極めた適切なタイミングで売り出すことが重要です。以下のポイントに注目しましょう。
不動産市場のサイクル
不動産市場は一般的に「上昇期→ピーク→下降期→底値」のサイクルを繰り返します。
理想的には上昇期からピークにかけて売却することですが、完璧なタイミングを見極めるのは困難です。
季節的な変動
春から夏にかけて(3月〜7月)は不動産取引が活発になる傾向があります。
一方、年末年始や夏季休暇中は取引が停滞しがちです。
地域の開発計画
駅や道路の新設、商業施設の建設など、地域のインフラ整備計画は土地価格に大きな影響を与えます。
こうした開発計画が公表された後、実際に整備される前に売り出すことで、将来の価値上昇を先取りできる可能性があります。
個人的な事情とのバランス
相続税の支払いや住み替えなど、個人的な事情による売却タイミングの制約がある場合は、市場状況だけでなく、これらの要素も考慮した総合的な判断が必要です。
売却方法の種類
土地売却の方法には、以下のような選択肢があります。
仲介 | 不動産会社に仲介を依頼し、買主を探してもらう方法 |
買取 | 不動産会社が直接買取する方法 |
入札方式 | 複数の買主候補に入札してもらい、最高価格を提示した相手に売却する方法 ※不動産会社や金融機関、農協などが取り仕切ることが一般的 |
不動産オークション | 専門業者が主催するオークションに出品する方法 |
それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
仲介 | 広く買主を募集できるため高値が期待できる | 売却期間が長くなる可能性がある |
買取 | 短期間で確実に売却できる | 仲介と比べて売却価格が低くなりがち(相場の7割~8割程度) |
入札方式 | 競争原理により高値が期待できる | 入札のための準備や手間がかかる |
オークション | 短期間で市場価値が明確になる | 出品手数料がかかる、最低落札価格を下回る可能性がある。 |
土地の状態や売主の事情に応じて、最適な売却方法を選択しましょう。
また、複数の方法を組み合わせることも一つの戦略です。
たとえば、一定期間は仲介で高値を目指し、それでも売れない場合は買取にすることもひとつの方法です。
土地を高く売るための準備
土地を少しでも高く売るためには、事前の準備が非常に重要です。
ここでは、土地売却前に行うべき以下の準備について詳しく解説します。
- 必要書類の準備
- 土地の相場確認
- 売却前の土地整備
- 土地の魅力を高める工夫
適切な準備をすることで、売却価格を大きく左右する可能性があります。
必要書類の確認と整理
土地売却には様々な書類が必要となります。
これらの書類をあらかじめ準備しておくことで、スムーズな取引が可能になるだけでなく、買主に対して信頼感を与えられるでしょう。
●固定資産税評価証明書
●実測図・境界確認書
●土地の公図
●建築確認済証・検査済証(土地に建物がある場合)
●取引記録(過去の売買契約書など)
土地の評価と相場調査の方法
土地を適正価格で売却するためには、客観的な価値評価と市場相場の把握が欠かせません。
評価・相場の調査方法には以下の方法があります。
複数の不動産会社による査定
最低でも3社以上の不動産会社に査定を依頼し、相場観を把握しましょう。
オンライン不動産一括査定サービスを利用すると効率的です。
公示地価・基準地価の確認
国土交通省が毎年発表する公示地価や、都道府県が発表する基準地価を参考にします。
これらは公的な土地評価の指標となります。
周辺の取引事例収集
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」などで、近隣地域の実際の取引価格を調べることができます。
路線価の確認
相続税評価額の基準となる路線価も参考になります。
これは国税庁のWebサイトで確認できます。
不動産ポータルサイトの活用
主要な不動産ポータルサイトで周辺の売り出し価格をチェックしましょう。
ただし、実際の成約価格は売り出し価格より低くなる傾向があることに注意が必要です。
売却前の土地の整備・メンテナンス
土地の第一印象は購入意欲に大きく影響するものです。
以下は一例ですが、適切に整備することで土地の魅力を引き出せます。
●定期的な見回り
●土壌汚染調査
●整地
敷地面積にもよりますが、雑草や樹木の伐採などは土地の魅力を引き出す方法のひとつです。
雑草が生い茂ることで見た目が悪くなるばかりか、害虫の発生などで近隣からクレームが入ることも。
雑草を処理し、可能ならば防草シートなどで対策すると良いでしょう。
また、廃材などが放置してあるのならば処分することも必要です。
定期的な見回りも重要です。
特に空き地の場合は不法投棄や、違法駐車など無断使用がないかを定期的に確認しましょう。
過去に工場や特定の事業用途で使用されていた土地は、必要に応じて土壌汚染調査することで、買主の不安を解消できます。
凹凸が激しい場合は、簡易的に整地することで土地の魅力を高めます。
土の流出による近隣クレーム対策にもなるので、自分で作業が厳しい場合ならばエクステリア工事の業者に相談してみましょう。
適切なメンテナンスは、販売活動をスムーズに進めるための基本となります。
土地の魅力を高める工夫
土地の魅力を高めて、土地を高く売るためには以下の方法を検討してみるのも良いでしょう。
●更地化
●権利関係の整理
●分筆の検討
土地を売却する際に正確な面積と明確な境界は、買主の安心感につながります。
特に古い土地や相続した土地は、図と実測に差異がでることがあるので専門家による測量を検討しましょう。
測量費用は10万円前後から、境界確定する確定測量ならば50万円以上かかりますが、トラブル防止と価値向上の投資として検討してみましょう。
土地に古い建物や構造物がある場合、解体して更地にすることで、買主の選択肢が広がります。
ただし、解体したからと言って解体費用を売却価格に上乗せすることには注意が必要です。
販売価格が周辺相場からかけ離れないよう、解体費用と価格上昇分を比較検討することが重要です。
また、土地に抵当権や地役権などが設定されている場合は、事前に整理しておくことでスムーズな取引を実現できます。
広い土地の場合、分筆して複数の区画として売却することで、総額を上げられる可能性があります。
ただし、分筆には費用と時間がかかるため、市場ニーズを踏まえた判断が必要です。
これらの準備を丁寧に行うことで、土地の魅力が高まり、より高値での売却チャンスが広がります。
しかしながら、不動産取引の経験が少ない方は、専門家のアドバイスを受けながら進めることをおすすめします。
土地売却の具体的な流れ
土地売却には明確なステップが存在し、各段階で適切な行動を取ることが成功の鍵となります。
ここでは、7つのステップに分けて、スムーズな売却プロセスを実現するためのポイントを解説します。
- 不動産会社の選び方
- 査定
- 媒介契約
- 販売活動と広告戦略
- 購入希望者との交渉
- 売買契約
- 決済・引き渡し
STEP1:不動産会社の選び方
不動産会社選びは、土地売却の成否を左右する最も重要な決断の一つです。
単に大手だからという理由だけで選ぶのではなく、以下のポイントを総合的に判断しましょう。
評価項目 | チェックポイント | 重要度 |
---|---|---|
専門性 | 土地売却の実績、経験豊富なスタッフの有無 | ★★★ |
地域密着度 | 近隣での成約実績、地域ネットワークの充実度 | ★★★ |
査定の透明性 | 査定方法の説明、根拠の明確さ | ★★☆ |
担当者の対応 | コミュニケーション能力、専門知識、誠実さ | ★★☆ |
サポート体制 | 法的手続きや書類作成のサポート範囲 | ★★☆ |
不動産会社を比較するためには最低3社は面談し、提案内容や対応を比較検討することをおすすめします。
STEP2:査定と適正価格の設定
適正な売り出し価格の設定は、売却成功の重要なポイントです。
査定の方法と価格設定の戦略について解説します。
査定方法の比較
査定方法 | 内容 | 所要時間 | 精度 |
---|---|---|---|
AI査定 | AIが大量のデータを解析して算出 | 即時~当日 | 概算程度 |
机上査定 | 公的データを元に概算価格を算出 | 3~5日程度 | 中程度 |
訪問査定 | 現地確認による詳細調査 | 1~2週間 | 高精度 |
AI査定、机上査定、訪問査定の順に精度が高まる一方で所要時間は増えていきます。
AI査定で概算額を把握し、机上査定を複数社に依頼することで不動産会社の選定に必要な不動産会社と面談して絞り込み、訪問査定を依頼しましょう。
価格設定の戦略表
査定額を元に販売価格を設定しますが、価格設定にも戦略があり、メリット・デメリットが存在します。
戦略 | メリット | デメリット | 適用条件 |
---|---|---|---|
市場相場どおり | 早期売却が期待できる | 利益幅が少ない | 早急な売却が必要な場合 |
若干高めの設定 | 交渉余地を確保できる | 売却が長期化するリスクがある | 時間的余裕がある場合 |
心理的価格設定 | 問い合わせ増加が期待できる | 端数調整の限界あり | 一般消費者向け土地 |
心理的価格設定とは、たとえば1,000万円で査定された土地ならば、980万円で売却を始めるといった価格設定のことです。
僅かな差ではあるものの消費者目線で考えても大きな差で、不動産ポータルサイトなどでの価格を用いた物件検索にも引っかかりやすくなるメリットがあります。
STEP3:媒介契約の締結(専任・一般・専属専任の違い)
不動産会社を選定し、販売活動を進めるためには販売委託契約である「媒介契約」を締結しなければなりません。
媒介契約には3つの形態があり、それぞれ特徴が異なります。
以下の比較表を参考に、自身の状況に応じた選択をしましょう。
契約の種類 | 専属専任 | 専任 | 一般 |
---|---|---|---|
契約社数 | 1社のみ | 1社のみ | 複数可 |
自己発見取引 | 不可 | 可能 | 可能 |
レインズ登録 | 5日以内 | 7日以内 | 任意 |
報告義務 | 週1回以上 | 2週間に1回以上 | なし |
推奨ケース | 希少性の高い土地 | 自己売却の可能性あり | 一般的な土地や競争促進 |
一般媒介契約は複数社に依頼できます。
不動産会社同士の競争を促進したい場合に推奨とはありますが、不動産会社を絞り込めない場合でも有効です。
一般媒介契約で契約を締結してから不動産会社を選定し、専任媒介や専属専任媒介にて契約をしなおすこともできます。
STEP4:販売活動と広告戦略
効果的な販売活動には複数のチャネルを組み合わせた戦略が必要です。
不動産会社がどのような広告戦略を用いるのか、判断するために主要な販売手法を確認しましょう。
販売手法 | ターゲット | 強み | 活用ポイント |
---|---|---|---|
ポータルサイト | 広範囲の購入希望者 | 大量リーチ | 写真・説明文の充実が鍵 |
現地看板 | 地域住民、通行人 | 実物の印象強化 | 目立つ位置とわかりやすいデザイン |
レインズ | 業者ネットワーク | 業界全体への情報共有 | 早期登録がポイント |
ダイレクトメール | 近隣住民、開発業者 | ピンポイント訴求 | 土地の特徴を的確に伝える |
オープン | 見込み客 | 実物確認可能 | 来場者の目線で案内 |
STEP5:購入希望者との交渉
基本的に購入希望者との交渉は不動産会社が間に入って進めてくれるため、直接話し合うケースは少ないものです。
しかしながら、確認したい内容を事前に把握し、自分自身の希望と照らし合わせることで不動産会社の動きも明確になり、より、内容のある交渉が可能になります。
そのため、以下の交渉前の準備チェックリストを確認しておきましょう。
確認項目 | チェックポイント | 重要性 |
---|---|---|
購入目的 | 居住、投資、開発など | 重要 |
スケジュール | 購入希望時期、引渡希望日 | 必須 |
交渉余地 | 値引き可能額、条件調整余地 | 重要 |
直接交渉することは少ないため、効果的な交渉術などはありませんが、以下の内容を不動産会社と共有することで、より有利に契約交渉を進められるでしょう。
●一気に最低価格を提示せず、段階的に譲歩する
●相手のニーズを把握し、双方のメリットを明確化する
売主・買主双方の希望条件をすり合わせることは重要ですが、一方で不動産会社はより早く契約をまとめようとすることがあります。
特に昨今の不動産会社の担当者は買主の御用聞きになりがちです。
不動産会社の言いなりで契約を進めるのではなく、希望条件を明確にして優先順位をつけ、無理なものは断ることも土地を高く売るためのポイントです。
STEP6:売買契約の締結
売買条件の合意後は、正式に売買契約を締結します。
契約は売主・買主・不動産会社が一堂に会して行われ、重要な手続きとなるため慎重に進めましょう。
売買契約時の流れは以下のとおりです。
- 重要事項説明
- 売買契約の締結
- 手付金の授受
買主が内容を十分に理解できるまで丁寧に説明が行われます。
都合2時間から3時間ほどの時間がかかるでしょう
契約時に準備するものは以下のとおりです。
●印鑑
●委任状(代理人が契約する場合)
基本的に不動産売買契約書への押印は実印を使用する必要はありません。
契約内容については、以下の点に注意して確認しましょう。
まず、契約解除条項を確認しどのような場合に契約解除が可能か、違約金の扱いなどを明確にしておきます。
契約不適合責任についてはその範囲と期間を事前に取り決め、引き渡し後のトラブルを防ぎます。
また、残金決済日や引き渡し時期の確認も重要です。
買主の住宅ローンスケジュールなども考慮し、無理のない日程設定が必要です。
手付金の額と扱いについても確認し、手付解除の締切日なども明確にしておきましょう。
契約書には特約条項を記載することもあります。
これは通常の契約条件に加えて、売主・買主間で合意した特別な条件を明記するものです。
たとえば「建築条件付き契約」や「農地転用許可を条件とする」など、土地特有の条件が含まれる場合があります。
不明な点や疑問があれば、契約前に必ず確認し、納得できるまで質問することが大切です。
一度締結すると簡単には解除できないため、専門用語の意味や条項の内容について、遠慮せずに説明を求めましょう。
不動産会社には説明責任があり、理解できるまで丁寧に説明する義務があります。
STEP7:決済・引き渡し
最終段階となる決済は、主に銀行で行われ、売主・買主・不動産会社・司法書士が立ち会います。この日をもって所有権が移転し、土地売却が完了となります。
決済当日の手続きの流れは以下のとおりです。
- 売主・買主の本人確認
- 司法書士による必要書類の確認
- 残代金決済
- 土地に関する書類一式を引渡し
- 必要であれば現地で境界確認
決済当日には以下の費用について精算します。
精算項目 | 目安額 |
---|---|
仲介手数料 | 売却額×3.3% |
抹消登記費用 | 土地に抵当権などが付いていた場合、1件あたり2~3万円 |
固定資産税の精算 | 支払済の固定資産税を日割り計算にて買主から受領 |
印紙税 | 契約書に貼付した収入印紙費用、契約時に清算するケースもあり 1万円~6万円 |
そして、決済時に必要になる書類は以下のとおりです。
●実印と印鑑証明書(発行から3か月以内)
●固定資産税納税通知書
●登記済証、登記識別情報
●振込先の口座情報
決済は平日の午前中に行うことが一般的で、所要時間は1時間から2時間程度です。
決済完了後の所有権移転登記は1週間から2週間程度で完了します。
土地売却にかかる費用と税金
土地売却時に発生する主な費用は以下のとおりです。
費用項目 | 金額の目安 | 支払時期 |
---|---|---|
仲介手数料 | 販売価格の3%~3.3%+消費税 | 売買契約時または決済時 |
印紙税 | 1,000円~6万円 | 契約書作成時、売買金額によって異なる |
登記費用(抵当権抹消) | 1件2万円~3万円程度 | 決済時 |
測量費用 | 10万円~30万円程度 | 売却活動前、敷地の規模によって異なる |
境界確定費用 | 20万円~60万円以上 | 売却活動前 |
解体費用 | 100万円~300万円程度 | 建物がある場合、売却活動前 |
費用を抑えるためにはいくつかのポイントがあります。
まず、不動産仲介手数料は不動産会社によっては交渉が可能になる場合もあるでしょう。
次に測量・境界確定費用は必要に応じて実施し、場合によっては買主負担にできる可能性もあります。
最後に解体工事についても必要性を吟味し、現状渡しが有利になる場合があることも。
いずれにしても、不動産会社に相談しながら、可能な限り費用を落とすことも大切です。
そして、土地を売却した際には譲渡所得税が課税されます。
税金の計算式は以下のとおりです。
そして、税率は不動産の所有期間に応じて以下のとおり定められています。
所得税30.63%+住民税10%=40.63%
●長期譲渡所得(所有期間5年以上)
所得税15.315%+住民税5%=20.315%
譲渡所得税は売却した翌年に確定申告する必要があるので注意しましょう。
土地売却の注意点
土地売却における注意点はさまざまですが、不動産会社選びにも通ずる特に大きな注意点として「建築知識の重要性」が挙げられます。
なぜ建築知識が重要なのか
不動産と建築は同じ業界にカテゴライズされがちですが、実は大きく異なる分野です。
不動産業 | 法律分野が中心、文系よりの知識が求められる、権利関係の把握が重要 |
建築業 | 物理、化学、計算が中心で、理系よりの知識が求められる、構造・設計への理解が重要 |
この違いから、熟練の担当者であっても、不動産専門の経験しか持たない場合、建築に疎いケースが少なくありません。
建築知識不足による典型的な失敗例
土地売却時に建築知識に疎い担当者では、以下のような失敗が起こりえます。
事例 | アパートを建てられる土地なのに戸建て用地として売却活動した。 |
影響 | 本来の価値を下回る価格での売却や販売チャンスを損失。 |
事例 | 3階建が実際には建てられない土地を3階建可能として販売した。 |
影響 | 販売期間の長期化、最終的な価格下落。 |
事例 | 高低差のある土地で、造成の必要性を見落とし相場通りに価格設定。 |
影響 | 買主がつかず、最終的に造成費用分を値引きする必要。 |
売買に関わる全員が建築に疎い場合、さらに深刻な問題が発生する可能性があります。
買主から「契約不適合責任」を追求され、裁判などの大きなトラブルに発展するケースもあるのです。
信頼できる担当者の見極め方
土地売却を成功させるためには、不動産会社の担当者選びが重要です。
理想的には建築士や施工管理技士などの資格を持つ担当者がベストですが、実際にこれらの資格を持つ不動産会社のスタッフは非常に少ないのが現状です。
そのため、資格の有無よりも重要になるのが担当者の「誠実さ」です。
プロフェッショナルな担当者は、分からないことがあれば正直に「分かりません」と伝え、「調べて回答します」と前向きな対応をしてくれます。
残念ながら不動産会社スタッフは顧客の前で弱みを見せたくないという心理から、知識がなくても知ったかぶりをしてしまう傾向があります。
本当に信頼できる担当者は、自分の知識の限界を認め、不明点は必ず調査して正確な情報を提供してくれます。
こうした誠実な姿勢こそが、大切な土地を適正価格で売却するための重要な判断基準となるのです。
土地を高く売る方法のまとめ
土地を高く売るには、市場価値の正確な把握、土地の価値最大化のための準備、効果的な販売戦略が重要です。
まず、複数の不動産会社に査定を依頼し、適正価格を見極めましょう。
AI査定で概算を把握し、机上査定と訪問査定へと進むのが効率的です。
土地の価値は立地条件、形状・面積などの物理的特性、用途地域や建ぺい率などの法的制限によって決まります。
売却前には雑草除去や不要物撤去などの整備を行い、必要に応じて測量や更地化も検討してください。
売却の基本的な流れは、不動産会社選定→査定→媒介契約→販売活動→交渉→契約→決済です。
不動産会社選びでは建築知識を持つ担当者が理想ですが、それよりも「分からないことを認め、調べて回答する」誠実さが重要です。
売却時には仲介手数料や印紙税、登記費用などの諸費用が発生し、所有期間に応じて短期(40.63%)または長期(20.315%)の譲渡所得税が課税される点にも注意が必要です。
適切な準備と信頼できる専門家のサポートを得ることで、大切な土地を最大限の価値で売却できるでしょう。