不動産投資の効率性・収益性を示す重要な指標に利回りがありますが、この利回りの種類も複数あります。このあたりの指標の複雑さが不動産投資の難易度を押し上げているのですが、その中で最低限知っておきたいのがグロス利回り(表面利回り)と、ネット利回り(実質利回り)です。不動産の指標で大切な部分のため計算式は覚えておいて下さい。
(12/21/2021更新)
不動産のグロス利回りとは?
グロス利回りは別名「表面利回り」とも呼ばれます。ここではグロス利回りの落とし穴についてお伝えします。不動産の広告などで利回り5.5%とか満室想定利回り…とか記載されていると思います。割とこのグロス利回りの記載が多く利用されています。(※ネット利回りの算出に難があることがあるため)収益不動産といっても収益ビルや収益アパート、収益1棟マンション、区分マンションなど多くの種類がありますがかかってくる経費も異なります。いわゆる経費(コスト)が計算の中に入っておらず、また購入時の諸費用なども入っていないケースも多く実際の利回りとは計算がずれてしまうためあくまで目安と考えなければいけない数値となります。
グロス利回りは以下の計算式
【グロス利回り=年間家賃収入÷不動産価格×100】
【例】年間で家賃収入が500万、不動産価格が6,000万の場合
グロス利回りは「5,000,000÷60,000,000×100=8.33(8.33%)」となります。この物件の場合、グロス利回りだけ考えれば、1年間で投資した額の8.33%が収入ができることになります。5年経てば約41%、10年経てば約83%の収入があるということになります。(※グロス利回りはコストは含まれていないため目安となります。)
不動産のネット利回りとは?
ネット利回りとは、不動産経営にかかる費用(コスト)を考慮した、より現実的な利回りになります。グロス利回りでは物件を購入する際にかかる金額は物件費用のみという前提になっていましたが、実際はそんなことはありません。ネット利回りは「実質利回り」とも呼ばれます。先ほどグロス利回りの計算に使った物件は年間家賃収入が500万円、物件価格が6,000万円でした。この規模の物件を購入するとき際には必要となる経費(諸費用)は大体、約5%~6%くらいはかかってきます。不動産会社や司法書士への報酬、保険などの諸経費は合計すると大体400万前後になります。すると物件価格は6,400万円となります。また家賃収入は500万ですが、ここから管理費、修繕費、固定資産税、管理手数料など…また、不動産の種類によっては光熱費、清掃費、各種点検費用、保険、なども経費として必要になります。仮にコストが年間で60万円かかった場合でネット利回りを算出した場合
(家賃500万円 – 経費60万円) ÷ (物件価格6,000万円+400万円)×100=6.875(約6.87%)
約8.3%あったグロス利回りがネット利回りに直すと約6.87%になります。なぜグロス利回りが資料に記載されることが多いのか…仲介物件の際はコストがわかっていないことが多いです。また見た目がいいという判断で選択している会社もあります。ポータルサイトではグロス利回りしか記載されないサイトもあります。ですが…ネット利回りについても気を付けなければいけないポイントがあります。
不動産ガイド:小林 茂美
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